新ジャンル「溶岩盤ヨガ」が話題となりスタジオ2店舗をオープンさせた松元理美さん

2011年、25歳のときに、東京・渋谷で初の溶岩盤ヨガスタジオ「SiMPLE」をオープンさせ、現在ではアドバイザーとして関わる松元理美さん。前編では、溶岩盤ヨガスタジオをオープンした経緯とどのように軌道にのせたのかを伺いました。「SiMPLE」が人気を集めた理由は、その当時、溶岩盤ヨガがほとんど都内にはなかったこと。その新しさにマスコミから依頼を受けることも多かったといいます。また2店舗目の福岡店オープンの際に妊娠され、経営権を譲渡することになった経緯などをお伺いしました。

今回、お話を伺ったのは…

松元理美さん

指導歴17年のヨガインストラクター。2011年2月、東京・渋谷エリアでは初となる「溶岩盤」を使ったヨガスタジオ「SiMPLE」をオープン。2015年春には、2店舗目となるスタジオを福岡市天神エリアにオープン。2019年に子育てとヨガインストラクターの育成に専念するため会社の経営権を譲渡することに。育成したヨガインストラクターは200人以上。ヨガの講師として、大手企業の宣伝広告物や雑誌、TV番組、展示会、ラジオ、野外イベントなどにも多数出演。3児の母としても忙しい毎日を送っている。

松元理美さんホームページ

松元理美さんインスタグラム ヨガアカウント

当時珍しかった「溶岩盤ヨガ」が話題のスポットに

窓があり開放的なスタジオ。遠赤外線効果で換気をしても溶岩盤の熱がすぐに冷めないのがメリット

――なぜ「溶岩盤ヨガ」スタジオを経営しようと思ったのでしょうか?

経営者になる前に、溶岩盤ヨガのスタジオで2年間店長をやっていたんです。岩盤浴に使う溶岩盤と言われる石を温めて、その上でヨガを行うのですが、体の内側からじわじわと温まって、デトックス効果もあるうえ、とても気持ちがいいいんです。それで「溶岩盤ヨガならこれから人気が出るかもしれない」と思いました。定員が10名くらいの小さなスタジオでしたが、当時はまだ溶岩盤のヨガスタジオは珍しかったので、話題になったのだと思います。恵比寿と池袋には1店舗ずつありましたが、渋谷では初めての出店でした。

――どのように経営を軌道に乗せたのでしょうか?

広告はほとんど出していませんが、当時は溶岩盤ヨガが珍しかったので、オープン時にマスコミにたくさん取材してもらえたのは幸運でした。モデルや女優さん、アーティストなどの新しい美容に敏感な方たちが、雑誌のインタビューで「溶岩盤ヨガに通っている」と答えてくださったりして話題になったのも大きかったですね。

それから、ちょうど店舗をオープンさせた頃に、恵比寿と池袋の2店舗の溶岩盤ヨガスタジオが、経営不振などで立て続けに閉店しまったんです。偶然のタイミングですが、そちらに通っていた生徒さんたちが、同じようなヨガスタジオを求めてうちに来てくださったということはありました

出店できる場所が見つけられない、若いため信頼してもらえない、オープン前の苦労

キャンドルチャリティイベントでのヨガレッスンのようす

――初店舗のオープン前の準備は順調でしたか?

スタジオの場所を探すのがまず大変でした。最初に探していた新宿エリアは、賃料が高価な巨大なビルか、古い小さな雑居ビルがほとんどでした。今はわかりませんが、その頃は10人以上の生徒さんが入る、きれいで手頃な大きさのビルが全然見つけられなかったんです。それに当時の私はまだ25歳と若かったので、ひとりで借りると言ってもオーナーに信頼してもらえなくて。半年以上探しても物件が見つからないという状態でした

そんなときに、渋谷の駅近で割と安く借りられるところに巡り合って、渋谷でオープンすることを具体的に考えました。そこが現在の「SiMPLE」です。渋谷では仲介業者の方が間に入ってくださいました。偶然、前に入っていた大きな店舗が撤退して、ワンフロア丸ごと空きが出たんです。そのためオーナー側にできるだけ早く借りられる人を見つけたい、という意向があり、タイミングが合ったということも幸運でした

――ビルに大きな溶岩盤を入れるとなると、借りられる場所も限られてきそうですね。

岩盤は重いのでもちろん床の強度も必要ですし、なんと言っても消費電力が大きいんですね。実はスタジオの溶岩盤は一度電源を落とすと、寒いときはもう一度温めるのに2日近く掛かってしまいます。ですから24時間つけっぱなしにしなければなりません。ドライヤーを同時に何台も使うことのできる「美容室のあるビル」というのを目安に物件を探していました。

2店舗目の福岡店をオープンさせるも、妊娠・出産で仕事が困難に

ヨガの講師として、さまざまな広告やイベントへの出演も多数ある松元さん

――2店舗目の福岡店オープンは順調だったのですか?

簡単にはいきませんでしたね。そもそも東京と福岡で場所が遠かったので、内装業者を見つけるのがひと苦労でした。工事が始まった後も、話がすれ違ってやってほしい作業をしてもらえない、待ち合わせても時間通りに来てくれないなど、工事が順調に進まず大変なことがたくさんありました

――オープンされた後はいかがでしたか?

実はプライベートでも、福岡店をオープンした後にひとり目の妊娠が発覚したんです。毎月1度は福岡店に行くつもりでしたが、安全面を鑑みて妊娠後は長距離移動は辞めることにしました。出産後は、乳幼児がいるので福岡店どころか渋谷店に行くこともままならなくなって

スタジオに行っても、子どもが泣き出したりして、少し顔を出してもすぐ帰るような状況でした。夜中に子どもが寝ついた後、授乳の合間に給与計算するような生活が続いて、経営のすべてが中途半端になってしまったんです。子どもをそばに置いて預けずに仕事をしたいという気持ちがあったのですが、不可能に近い。それで状況をいろいろ考えた末、経営譲渡という形に落ち着きました


松元理美さんが溶岩盤ヨガスタジオをオープンできた3つのコツ

1.競合が少なく、新しいジャンルの「溶岩盤ヨガ」というジャンルを選んだ

2.自分が2年店長として働き、よさをよく知っていたジャンルのヨガスタジオをオープンさせた

3.希望していたエリア以外で物件が出たチャンスを逃さず、契約を進めた

後編では、経営譲渡された後のお話や、経営者のメリット・デメリットについてなどもお聞きしていきます。現在松元さんは、3人のお子さんを育てながら、しばらくの間アドバイザーとして「SiMPLE」の運営に関わられていたとのこと。さらにインスタグラムでヨガ動画も公開されているそうです。また「ヨガホームティーチャー」として講師業務に力を入れていることなどについても伺いました。

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