中2から経験を積む異色の経歴。ネガティブな自分を変えた一つの口癖「Sweet Room代官山」歩夢さん
「Sweet Room代官山」に入社して4年目の歩夢さん。前編では、ヘアメイクとしてもさまざまな経験を積んでいる歩夢さんに、なぜそのようなことが可能になったのかを伺いました。
後編では、中学生時代から職業体験のような形で、美容室に入っていたという歩夢さんの、行動力の源をさらに掘り下げます。また新人時代の方が、ブレーキをかけずに行動できていたと話す歩夢さんに、新人時代の経験からどんなことを学んだかも伺います。
今回、お話を伺ったのは…
歩夢さん
美容師/「Sweet Room代官山」所属/ヘアメイクアップアーティスト
富山県出身。中学時代に美容師とヘアメイクアップアーティストになることを決意。中学生から美容師見習いを経験し、高校時代は学校に通いながらアシスタントとして技術を磨く。国際文化理美容専門学校卒業後、「Sweet Room」に入社。現在は入社4年目で、美容師としてだけでなく、ヘアメイクアップアーティストとして、撮影チームに参加。雑誌、映画、アパレルのルックブックなどの撮影現場にも参加するなど、精力的に活動を続けている。
中学生で美容師となることを決意し、すぐに職業体験へ
――中学生から職業体験のような形で、美容室に入っていたとお聞きしました。
はい、給料をもらって働くことは当然できないので、電話対応や接客などを経験させてもらっていました。お店としては親戚の子が手伝いにきているくらいの立ち位置で、仕事をさせていただいていました。
――中学生から美容師を目指すのは珍しいことではないと思いますが、実際に職業体験をするというのがすごいですね。
うちの家の教育方針で小中学校のうちに自分がなりたいものを決めて、あとはそれに向かって一直線に進むようにと言われていたんです。
――美容師を志したきっかけは何かあるのですか?
その職業体験でお世話になったお店に、髪を切りに行ったことでした。僕は美容師泣かせの髪質なんです。すごいくせっ毛ですし、病気でM字はげがあり、さらに変な場所につむじもある。でも美容師さんに切ってもらったときに格好よくなってすごく驚いて。美容師さんの手って不思議で、触っているだけでおしゃれにすることができるんですよね。
さらに切ってもらっているときに、僕は美容師というのは技術だけじゃないと感じたんです。相手から話を引き出す力をあって、場を和ませ、髪だけでなく心もきれいにしてくれる。美容師の仕事はすごいと思いました。そのオーナーに後日、「僕は美容師になりたいと思うようになったんですけど、ここで働くことを体験させてもらえませんか」と伝えると、簡単に「いいよ」と(笑)。
――そのオーナーさんも、自分がきっかけになったことがうれしかったんでしょうね。ちなみに同じ頃にヘアメイクにも興味を持ったとのことでしたが。
はい。偶然、朝のニュース番組「zip」で、クリスチャン・ディオールのファッションショーが流れていて。その世界観や、メイクに心奪われてしまいました。そこからヘアメイクアーティストも同時に目指すようになりました。
自分を変えた、「まあ、なんとかなる」
――お話伺っていると、物事をポジティブにとらえられる性格だと感じます。
それが、元々の性格はすごくネガティブなんです。中学くらいのときはみんなに意見を合わせるようなタイプでしたし、対人関係でも、「あんなことしなければよかった」とか「あの一言で怒らせたかも」とかぐちぐちと考えていることもよくありました。でも中学生時代に当時お付き合いしていた彼女から「なんでずっと仮面被ってんの?何をびびってんの?」といわれて(笑)。あ、ばれてる、このままじゃだめだと思うようになって、高校生のときに口癖を変えたんです。
――どんな口癖ですか?
「まあ、なんとかなる」です。口癖を変えると、不思議とネガティブな感情が消えるんですよね。人からもポジティブに見られたほうがいいと思ってるので、そう見てもらえるように心がけてきました。口癖を変えただけで、人格もあとからついてくると思います。
経験が少ないからこそ、飛び込めることもある
――新人時代と今のご自身を比べてみて、違いはどういうところにあると感じますか。
僕は人間というのは年齢を重ねていくと、社会のルールにとらわれたり、ストッパーがかかるものだと思っています。若いときのほうが、イケイケでできていたな、と。今はブレーキがかかってしまうことがあるので、それをぶっ壊して、昔の自分を取り戻そうとあがいているところです(笑)。
――新人時代を振り返ってみて、どんな学びや経験になったと感じますか。
自分の非力さを思い知ったのと、コツコツやることの大切さを実感しました。最初からフリーランスになろうとしていた自分をとんでもないと思うくらい、自分は力がなく、そして力をつけていくためには、少しずつでもやり続けることが大切なんだということを、新人時代に学びましたね。僕は本当にコツコツやるのが苦手なんです。でも自分の現在地が分かったからこそ、継続して技術を学んでいくしかないんだと感じるようになりました。
――この業界に入ってくる方へのアドバイスがありましたらお願いします。
自分のやりたいことがあったら、怖じ気づかずに1回とりあえずやってみたほうがいいと思います。怖がっていても何も変わらないし、そういう気持ちでいると、チャンスがきたときに癖で逃げるようになってしまうと思うので。そしてどんな経験にも無駄なことはないと捉えると、それもまたチャンスにつながっていくと思っています。
僕も本当にまだまだで、これからはもっとヘアメイクの仕事を増やしていきたいと思っています。一番の夢はクリスチャン・ディオールのバックステージに立つこと。その一歩として来年から資生堂が運営するヘアメイクスクール「SABFA」に入学して、ヘアメイクについてもっと学んで行く予定です。自分ができることに全力で取り組み、夢を叶えたいと思います。
歩夢さんの行動力を支える3つのポイント
1.ルールにとらわれず、自分ができることに最大限挑み続けた
2.「まあ、なんとかなる」を口癖に、ポジティブな人格に入れ替えた
3.自分のブレーキを壊すことを心がけ、常に新人時代の勢いを忘れないようにしている
歩夢さんの話をお聞きしていると、自分に制限をかけているのは自分なんだということを改めて認識させられました。新人時代の方が行動できていたという歩夢さん。これからキャリアを積み上げていく人も、経験がないことがむしろ強みだという気持ちで、進んでいくといいかもしれません。
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