スピードと完璧にこなす正確さは、経験の積み重ねから生まれる「NOT」岩崎綾さん
カミカリスマも受賞する人気美容師、長門政和さんの専属アシスタントである岩崎綾さん。前編では、有名店に新卒社員として採用された岩崎さんが、長門さんの専属アシスタントとなるまでを伺いました。
後編では、「NOT」に入社後の岩崎さんについて伺います。長門さんとお客さまを待たせないため常にスピード感のある対応を心がけ、同じことを繰り返しても、毎回完璧にこなせるという岩崎さん。一体どのようにして実現しているのでしょうか。
今回、お話を伺ったのは…
岩崎綾さん
「NOT」アシスタント／スパリスト
美容専門学校卒業後、都内有名店に新卒採用で入社。アシスタントとして技術を磨くうちに、ヘッドスパへの思いが強くなり、4年の勤務を経て退職を決意。その際、「NOT」代表の長門政和さんから専属アシスタントの打診を受け、「NOT」に入社する。長門さんのYouTubeチャンネルにも数多く出演し、物怖じしないキャラクターにファンも多い。
崇めすぎない適度な距離感を大切に
長門さんと岩崎さんが働く「NOT」。スタイリストMIZUKIさんも新たに加わり、ますますパワーアップ
――「NOT」で長門さんと2人で働くようになって、仕事や心境に変化はありましたか？
あまり変わりがないなと思っています。私しかアシスタントがいないので、やることは増えましたが、お客さまも基本的に変わりはないし、話し相手が長門さんだけになったという感じです。
――今は、新しいスタイリストであるMIZUKIさんもいらっしゃいますが、それまではずっと2人だったということですよね。勝手な想像ですが、2人でお店にいて息が詰まることはありませんか。
そういったことは、あまりないですね。お互いにイラッとすることはあると思いますが（笑）、私はフロントや裏にいることも多いですし、休憩時間もずっと一緒というわけではないので。あとはお客さまがいらっしゃることが大きいかもしれません。私はお客さまとお話するのが楽しいこともあって、2人きりという感覚はあまりないです。
――YouTubeを拝見していると、長門さんと岩崎さんは先輩後輩というより、かなりフラットな関係性という感じがします。それも2人での仕事が長く続いていくコツだったりするのでしょうか。
そうですね、私が長門さんのことを尊敬しすぎていないことによって、適度な距離感が保てているのかなと思うことはあります。ただ、意識してそうしているわけではないです。前のサロンに勤めていたときも、先輩から「態度がでかい」と怒られるようなタイプだったので、元々先輩に物怖じしない性格なのかもしれません（笑）。
早さと満足感の両方がある、施術を目指して
スピード感はとくに意識しているという岩崎さん
――今の仕事で、とくに意識していることはありますか？
スピード感は大事にしています。お客さまと長門さんを待たせない。スパの場合は別ですが、シャンプーなどはゆっくりやって気持ちいいのは当たり前だと思っているので、いかに早く、お客さまが満足する技術を提供できるかを心がけています。
――長門さんによると、普通の人は同じ仕事を続けていると気が抜けてくることもあるけれど、岩崎さんの場合はずっと完璧にできるところが素晴らしいそうです。
自分で特に考えていることはあまりないのですが、言われたことを完璧にやろうとは思っています。
――どうやったら、完璧にできるようになるのですか？
積み重ねだと思います。時間をかけて、何回もやっているうちに、スピードも早くなるし、精度もあがっていくのではないかと。
――逆に岩崎さんから見た長門さんのすごいと思うところや、近くにいるからこその学びはありますか？
お客さまから求められているものを完全に再現できる力は、すごいなと思います。あとはカウンセリングで悩みや情報を引き出す力もあると思いますし、ずっと通ってくださっている方がマンネリ化しないよう、新しい提案をちょっと入れたりするのがうまいな、と。
常に新しいことを勉強しているし、情報量が多いので、引き出しがいっぱいあるんだと思うんです。サロンワークとYouTubeと自分のセミナーがあって忙しいのでなかなか時間がとれないみたいですが、それでもオンラインセミナーは購入してよく見てたりしますし、リアルなセミナーも時間さえあえば行きたいとよく言ってます。
自分を選んでくれる人がいることが、美容の仕事のやりがい
岩崎さんが考える美容の仕事のやりがいは、努力次第で自分を選んでくれる人が増えることだそう
――美容に関わる仕事のやりがいとは、どんなところにあると思いますか。
努力次第で、私を選んでくれる、私をいいといってくれるお客さまが増えるところだと思います。前のサロンのときに、3年目から長門さんの専属になったので、あまりヘッドスパに入れなくなってしまって。自分を指名してくれていたお客さまに別のスタッフを紹介していたのですが、たまに挨拶しに行くと「やっぱりあなたがいいわ」と言ってもらえることがあって、それがすごくうれしかったんです。
そういう言葉をかけてくださって自分の技術を求めてくれる方ができるのが、やりがいではないかと思います。
――最後にこれから美容業界に入ってくる方へ、アドバイスをお願いします。
継続していくことが大切なのかなと思います。多分、美容室に入ると、腹の立つことも多いと思うんです。私も過去にはそういうことがあって、正直「なんでそんなことでここまで怒られないといけないの、先輩だってできてないじゃん」と思っていたことも（笑）。辞めたいと思ったことも1回や2回ではありません。
でもお客さまが好きだったから、会えなくなるのが嫌だなと思って踏みとどまることができたんです。あとは同期もそうですね。その存在があったから続けてこられたな、と。
――人とのつながりが大切なのですね。
そう思います。そしてその人とのつながりを自分が嫌いな人に壊されたくない、そんな先輩に絶対に負けたくないという反骨精神ですね（笑）。コツコツやっていけば、結果は絶対についてくるし、その人を抜かすことができれば自分が言える立場にもなれますから。諦めないで、自分の好きなことを続けてほしいと思います。
岩崎さんが専属アシスタントとして心がけた3つのポイント
1.スタイリストを崇めすぎず、適度な距離感を取るようにした
2.スピード感と完璧さを意識しながら、仕事の時間を積み重ねた
3.コツコツと努力を続け、スタイリストとお客さまに求められる自分であり続けた
クールなお話ぶりだった岩崎さんですが、言葉の端々からお客さまを満足させたいという高いプロ意識が感じられ、長門さんから指名を受けたのも納得でした。そしてカットが好きではなくても、アシスタント業務を極めることで美容に携わる道があることは、多くの人の希望になると感じました。
