「復元パーマ」でリピーター続出! クセ毛風をロジカルに作り上げる『MAGNOLiA』のパーマの秘訣とは【美容師のパーマ技術 MAGNOLiA SHINさん #1】
コロナ禍でヘアサロンへの来店サイクルが延びがちな今、「長く楽しめる」デザイン提案が重要になっています。そこで今回は、パーマに定評のあるヘアサロン『MAGNOLiA』の表参道店で代表を務めるSHINさんにインタビュー。パーマの良さを長く楽しめるという「復元パーマ」について教えていただきました。
前編では、MAGNOLiAのパーマへのこだわりと、アフターコロナでのパーマの動向、そしてSHINさんが推しているという「復元パーマ」のメリットを教えていただきます。
MAGNOLiA
SHINさんにインタビュー
表参道店 代表。美容師歴13年。日本美容専門学校卒。MAGNOLiA新卒第一号として入社。現在は表参道店の代表を務める。長く楽しめるパーマ技術を武器に、ファッション誌の撮影やセミナーの講師活動にも携わっている。
Instagram:@magnolia_shin
パーマをクセの延長として捉え、絶妙なニュアンスをロジカルに作り上げる
―MAGNOLiAはパーマに定評があります。サロンとして、パーマにはどんなこだわりが?
代表のMARBOHは、パーマをロジカルに落とし込んできた人です。僕たちスタッフも、そのマインドを引き継ぎながら、デザインにつなげています。
サロンとしてパーマへの一番のこだわりは、パーマをクセの延長と捉えることです。そうして、曲線の美しさや外国人のような柔らかさ、狙いすぎていない質感を、ロジカルに作り上げていく。それが、アイロンとの差別化にもつながります。
クセ自体に否定的な方も多いので、もちろんそういう方に「クセを出しましょう」という提案はしません。でも、やっぱり否定するよりは、肯定したいなという想いがあるんですよね。だから、どこのクセを消し、どこのクセが使えるのかを、しっかり見極めることも大切にしています。
―パーマ技術について、サロン独自のレッスンなどはあるのでしょうか?
独自かはわかりませんが、パネルの厚みのチェックは、MAGNOLiAならではかもしれません。セクションごとに、パネルのピボットポイントの厚みを均一にすることは、パーマを美しく仕上げる上でとても重要です。だから、指の感覚だけで厚みが揃えられるようにする、というレッスンは、若いころから何度もやってきました。
また、ひとつのウィッグで、タイムを計って、いろんな巻き方をしていくというレッスンもあります。アンダーの毛先巻きから始まって、ミドルセクションでは中間巻きをフォワード・リバースで…という感じで。
どの巻き方でどんな形状になるのかは、自分で巻いてみて理解することが大事です。だから、まずは手を動かして、とにかくやってみる。そして、徐々にスピードも上げられるようにする。美容学校のパーパスと、サロンワークでのパーマとの違いを感じるきっかけにもなります。
「取れる過程まで可愛い」というパーマの魅力が伝わるデザインを
―では、SHINさんのパーマへのデザイン的なこだわりは?
一番は、「ラクに可愛くなれる」ことです。しっかりスタイリングすればもちろん可愛いけど、時間が経って崩れた表情や、風に吹かれた時などの、ふとした瞬間も可愛いというのは、パーマの魅力だと思います。アイロンの巻き髪は時間が経つと取れてしまうけど、パーマなら水で復活できるし、崩れた様子も美しい。それを感じてもらえるようなデザインを考えて作るようにしています。
また、デザインの考え方という面で言うと、デザインの要となる部分と、そこを際立たせるためのサポート役を、しっかり見極めることも大切にしています。パーマって、どうしても足し算の技術なので、こだわりを詰めすぎちゃうとチグハグになるんです。一番ポイントになる部分だけ少し巻き方を変えて、そこを際立たせるために、あえて形状にならないものも作っておく。そういう引き算の部分も作ることは意識しています。
あとは、長く楽しんでもらえること。パーマって、かけたても可愛いんですが、取れていく過程やニュアンスにも、狙えない可愛さがあるんです。そこを楽しんでもらえるようなデザインを心がけています。
―「長く楽しめる」というのは、コロナ禍での提案でもキーワードになると思います。
来店サイクルが延びがちな今、パーマに限らず「持ちの良さ」は重要ですよね。MAGNOLiAとしても、長く楽しめるパーマ提案は重視しています。かけたてのカールが長く持つこと、パーマが取れていく過程も可愛いこと、そして、カットしてもパーマが活かせること。そういったことも考えながら、デザインを提案します。僕たちが「復元パーマ」と呼んでいる技術も、そのひとつです。
パーマを長く楽しめる「復元パーマ」で、デザインの幅が広がる
―「復元パーマ」とは?
「復元パーマ」は、次の来店時にカットすると、パーマの形が復活する技術です。中間からSカールを入れることで、2カ月後にハサミを入れても、上の段のカールが残ってくれる。しっかりパーマの質感、ニュアンスが長く楽しめるんです。
―取り入れることで、どんなメリットがありますか?
「復元パーマ」をすると、来店のたびにパーマをかけなくてもよくなるので、より広い提案ができるようになります。「カットしてもパーマは活かせるから、今回はハイライトを楽しもうか」とか、「ちょっとトリートメントでケアしてあげようか」とか。
また、「復元パーマ」の中間から動くデザインは、春夏のトレンドにもハマります。最近は、中間にリッジ強めのカールを入れたり、顔周りをくしゃっとさせたりと、ポイントでスパイラル系の動きを入れるデザインが人気です。そことの親和性も高いので、「復元パーマ」を取り入れることでデザインの幅も広がり、お客様もいろいろ楽しめるんじゃないかと思います。
SHINさんが作る『復元パーマ』のポイント
パーマが取れていく過程も可愛く、カットしてもパーマが活かせるという「復元パーマ」。ポイントは、ミドルセクションの内側に、アップステムで2回転巻いたSカールを入れることなのだとか。
今回SHINさんが提案してくれたのも、そんな「復元パーマ」を取り入れたデザイン。スパイラル系の動きを取り入れた、Sカールの重なりで作るパーマは、くしゃっとした質感がトレンド感バツグン! 髪を結んだ時にこぼれる毛まで計算されたデザインです。
お客様への提案キーワード
1 伸ばし中のマンネリ対策に
2. 計算された後れ毛で、ざっくり結ぶだけでも可愛く!
3. 顔周りのデザインでマスクをしても華やかに
パーマにこだわりのある『MAGNOLiA』が作り出した、パーマを長く楽しむための技術「復元パーマ」。後編では、そんな「復元パーマ」を取り入れたトレンドのパーマスタイルの、詳しい作り方を教えていただきます。
▽後編はこちら▽
コロナ禍でも高い需要を得る「復元パーマ」の作り方【美容師のパーマ技術 MAGNOLiA SHINさん #2】>>
取材・文:山本二季
撮影:高嶋佳代
ヘア:SHIN(MAGNOLiA)
メイク:HINATA(MAGNOLiA)
モデル:青木葉新