キャリアも子育ても充実させたい! だから転職の条件は「働くママを大切にする」サロン ICH・GO大山店 スタイリスト 池田彩香さん#1
リーズナブルな価格設定で人気のヘアサロンICH・GO。その大山店でスタイリストとして勤務する池田彩香さん。
3歳になる男の子のママでもある池田さんは、テレビ局のヘアメイクを経て美容師になった異色の経歴の持ち主。前編では転職によってどのようにキャリア形成したのか、子育てしやすい環境のために必要なことなどを伺いました。
お話を伺ったのは…
ICH・GO大山店 スタイリスト 池田彩香さん
美容専門学校を卒業後、ドラマやバラエティ番組でヘア&メイクを受け持つ会社にアシスタントとして入社。その後、女性専門のヘアセット・メイクサロンに転職。ここで美容師として必要な技術を学ぶ。8年ほど勤務し、2年前から現在のICH・GO大山店に転職。現在は上板橋にオープンした店舗の店長として勤務するかたわら、他の店舗も総括するマネージャーとしても辣腕を振るう。
髪に触れるのもメイクも好き。そこで一から学ぶためにサロンへ転職
—–テレビ局のヘアメイクは時間も不規則で激務だったのでは?
朝から晩までず~っとスタジオに入っていました。青森の学校を卒業して上京してきたのですが、アシスタントとしての給料だけでは生活できません。拘束時間が長すぎてアルバイトをする時間もありませんでした。
それでその当時は親に生活費を援助してもらっていました。
—–それは大変でしたね。サロンへの転職を決めたのは金銭的な理由もあったのですか?
もちろん金銭的なこともあります。それと、髪をいじることが好きで美容学校へ進学したのに、それまで髪に触れる機会がありませんでした。せっかくなら自分のやりたいこともっと身につけたいと思い立って転職を決めました。
—–転職先も、ナイトクラブに勤めている方専属のサロンというのもユニークですね。
最初のヘアメイクの会社で2年間、メイクとヘアアレンジの技術を身につけていたので、これを生かしつつ、美容師としてのスキルを身につけたいと思っていました。
当時のナイトクラブは髪をかなり盛ったスタイルが流行していて、私のヘアメイクの技術が生かせました。ただ、そのときは美容師としての経験がなかったので、シャンプーすらしたことがありません。カットもカラーも一から学びました。
—–結婚をなさったのは、そのサロンに勤めているときですか?
サロンに転職したころに、7年間付き合っていた彼ですが、なかなか結婚に踏み切ってくれなかったんです。「私が女性として若くて一番いいときを一緒に過ごしたのだから責任をとりなさい!」と言って結婚しました。周りからは「それは脅迫だ」と言われています(笑)。
同居する実母の助けがあって育児と仕事の両立が可能に
—–お子さんを身ごもったのは結婚から2年ほど経ってからですね。
ずっと子どもがほしかったので、妊娠が分かったときは人生でいちばん嬉しかったですね。ただ、勤めていたサロンは人手が足りなくて、私が産休を取ったら迷惑をかけてしまう…と考えると、なかなか言い出せませんでした。
—–でも、伝えないとお休みが取れません。
お子さんのいる女性オーナーは「おめでとう」と一緒に喜んでくれましたが、男性の店長は困ったような「う~~ん」でした(笑)。サロンには子どものいる女性スタッフがオーナー以外にいなくて、妊娠中の大変さを分かってくれる人がいなくて、肉体的にも精神的にも辛かったですね。
—–ご家族のサポートはいかがでしたか?
夫がたまにサロンまで迎えに来てくれることはありました。でもそんなに気を遣ってくれている…とは感じなかったですね(笑)。私の母が同居しているのですが、栄養を考えた食事を作ってくれて、本当に助かりました。
子どもが生まれてからも分からないことが多くて不安だらけでしたが、母のおかげでイライラすることもなく、心強かったです。母がいなかったら、乗り越えられなかったかもしれません。
—–出産から2か月後に職場復帰ですね。
待機児童が問題になっていた時期だったので、「どうせ申し込んでも抽選で外れるだろう」と思っていたら当たってしまったんです。この機会を逃したら次はない…と決心して、保育園に預けることにしました。まだほとんど寝ている状態だったので、「こんなに小さな子どもを預けていいのか」と考えると、とても辛かったですね。
職場復帰したもののサロンが解散。子育てを優先できるサロンを求めて転職
—–復職したときは時短勤務だったのですか?
通常の勤務だと23時までだったのを、17時半までにしてもらいました。まだ子どもが幼いので、保育園で熱を出したり体調が悪くなったりして呼び出されることがしばしば。そのたびに早退しなければならず、とても心苦しかったです。
そこで、正社員だったのをパートタイマーに変えてもらいました。今までの固定給が時給になって、収入がガクッと減りましたが、その分、気がラクになりました。パートなので休日も自由に取れるようになり、会社員の夫に合わせて日曜と祝日に休みを取るようにしました。
—–サロンの方は人手不足にならなかったのですか?
私が復帰したあたりから、サロンの雰囲気が変わっていました。以前はナイトクラブの女性と言えば「盛り髪」が人気だったのがナチュラルなスタイルに変わり、サロンで髪をセットする方が減ってしまったのです。私が抜けることで人件費が浮いて、逆によかったのでは…と思います。
職場復帰してから半年くらい経った頃でしょうか、オーナーから「サロンを閉じる」と宣告されました。
—-お子さんを抱えての転職活動は大変でしたね。
宣告されてから店を閉じるまで1か月あったので、サロンでの仕事をこなしながら転職活動しました。転職先を探すとき、別に美容師にこだわっていませんでした。勤務時間は不規則だし、子育てしながら仕事をするのは厳しいことは分かっていましたから。
でも、求人情報を見るとき、いつも「美容師」から探している自分に気づきました。改めて「私は美容師を続けたいんだ!」と分かったのは大きな収穫でしたね。
—–転職先を決めるのに、譲れない条件は何でしたか?
子ども中心で仕事ができることです。「勤務地と自宅が近いこと」、「子育てしている美容師がいるところ」、「子どもが病気をしたときに早退したり休んだりできること」。この3つは譲れませんでした。
前のサロンは子育てしている美容師がいなかったので、私の事情を理解してもらえず、とても辛かったんです。子育ての大変さを共感してくれる人が職場にいるだけで、気持ちがラクになります。それに、すでに子育てしている美容師がいるということは、それだけママさん美容師が働きやすい環境だという証拠ですから。
今、働いているICH・GOの求人に「子育てと両立できる」ということが書かれていたので、即、応募しました。
池田さんが子育てと仕事を両立させるために選んだ3つのポイント
1.勤務体系を正社員からパートタイマーに変えて子育ての時間を確保
2.子育てをしているママさん美容師のいるサロンを選ぶ
3.困ったときは先輩ママの母の力を借りる
責任感の強さから、自分の苦しさをなかなか打ち明けられずに仕事をこなしていた池田さん。子育てをする中でご自身が本当にやりたかったこと、いちばん大切にするべきことを見つけました。
後編ではパートタイマーの美容師でありながら、店舗を総括するマネージャーでもある池田さんの仕事ぶりをご紹介します。