美容の仕事に役立つ“癒し”をもたらす石とは?【こころを高める天然石 #1 ピンク〜レッド】
日常的なファッションアイテムとしてすっかり定着した感のある天然石。
もしかしたらサロンのお客さまが身につけていらっしゃるアクセサリー、ストラップやバッグチャームなどにも、天然石が使われているかもしれません。また最近では、天然石をモチーフにしたネイルデザイン、ドゥルジーネイルも人気です。
そこでこのシリーズでは、天然石をカラートーン別に分けて、その石自体がもつ本来の意味や魅力を解説していきます。お客さまとの会話のきっかけとして生かしてくださいね。
天然石の中でも最高級のものが宝石になる
宝石と天然石とでは、何が違うかご存じですか?
宝石も天然石も、もとは鉱物--つまり、石のかたまりです。
地球上には4700種類もの鉱物があると言われています。その中でも特に色や輝きが美しく、硬度が高くて質が変わりにくく、さらに産出量が少なくて貴重なものを「宝石」と呼んでいます。ダイヤモンドがその代表です。
宝石ほどの硬度はなかったり、色味などが宝石のレベルではないとしても、アクセサリーとして楽しめるような鉱物が「天然石」です。例えばルビーは、一握りのとても質の高いものだけが、高価な宝石として宝飾店に並びます。
宝石と天然石は重なる部分もあり、くっきりと線引きすることはできませんが、基本的にはこのような違いがあるんです。
今回はまず、女性に特に人気の高い、ピンク色&赤色の天然石をご紹介しましょう。
ローズクォーツ:心も体も癒やされるやさしいピンク色
天然石の中でも特に女性に好まれる淡いピンク色のローズクォーツは、水晶の一つで、恋愛運を上げるとも言われています。
古代から装飾などに使われてきており、人間との関わりが古い石のひとつ。日本語では「紅石英」または、その色にちなんで「薔薇石英」というすてきな呼び方もあります。
ローズクォーツのピンク色の正体は、中に含まれるている酸化チタンの細かな結晶です。細かい結晶が分散しているため、薄いピンク色ににごったように見えるのが、この石の特徴でもある「やさしさ」を生み出しています。
このやさしいピンク色には、見ているだけで疲れをいやしてくれるような、そんな不思議な力があります。恋愛運だけでなく、やさしさ、癒やしといったキーワードとも密接に結びついていた石といえるでしょう。
エスティシャンの方の中には、ローズクォーツのかっさプレートを使ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。天然石の中でも、オイルを使ったり消毒したりするかっさマッサージに適した質だということこともありますが、同時に、そのやさしい色合いがお客さまにも施術する側にも安らぎを与えてくれるのです。
インカローズ:薔薇を思わせる紋様で心に気合いを
インカローズはピンクの濃淡と白が縞になった、とても個性的な美しい石です。正式には、「ロードクロサイト」というちょっと難しい名前。ギリシャ語からきていて、「ロード」は「薔薇」、「クロス」は「色」という意味です。
一般に使われている「インカローズ」という呼び名は、磨いたときの鉱物の縞模様が、まるで薔薇の花のように見えることからきています。産地が主に中南米だったために、かつて中南米を支配していたインカ帝国とも結びつけてこの名前になりました。
インカ帝国の人たちはこの石を、「ピンク色のバラ模様を呈した真珠」として、とても大切にしていたといいます。インカ帝国は文字を持たない文明だったので、はたして本当かどうかは今となっては分かりませんが、なんだかロマンティックなお話です。
インカローズは恋愛運のアクセサリーにしばしば使われるように、自分に自信を持てたり、積極的になれるような石です。自分を愛してあげる石でもあり、身につけると気持ちが上向いて、背中もぴしっと伸びて、「がんばろう」という気にさせてくれます。
仕事がうまくいかないときに、恋愛が思い通りにいかないとき、身近にインカローズのかけらをおいておくのもいいかもしれません。
ガーネット:深く濃い赤色に気持ちがぐっと引き締まる
「ガーネット」は日本語で「ざくろ石」といいます。ざくろの実のような真っ赤な石を想像しますが、実はガーネットは石そのものの名前ではなく、赤色、オレンジ色、緑色など、さまざまな色の石の総称です。
このうち、一般に「ガーネット」と呼ばれて親しまれているのが、濃い赤色の「アルマンディン」という天然石です。質の良いものは宝石としても人気が高く、1月の誕生石とされています。
世界中で古くから装飾などに使われており、17世紀に作られたハプスブルグ家の紋章「双頭の鷲」をかたどった宝飾品には、416カラットの大粒のアルマンディンがはめ込まれています。とても圧巻の美しさですので、ぜひ検索してチェックしてみてくださいね。
ざくろ石の名前の通り、実りの象徴とされ、恋愛、仕事などいろんな意味での努力に成果をもたらしてくれるといわれています。深く濃い、まるで血の色のような赤い色は、見ているだけでも気持ちが引き締まり、勇気をもたらしてくれるような気がします。
アルマンディンはとても硬い天然石で、ダイヤモンドが見つかる以前は、アルマンディンの小さな結晶が他の石の研磨に使われていたほどです。
このように、アルマンディンが与えてくれるのは、やさしさよりも強さといえるかもしれません。ストラップやリングとして身の回りに置いておき、ここぞというときにぎゅっと握りしめると、不思議とテンションが上がっていくでしょう。
仕事中は、アクセサリーとして天然石を身につけることはできない方も多いと思います。プライベートのときや通勤中に身につけたり、バッグに忍ばせておくというのも一つの手です。天然石の個性をよく知って、上手に利用してみてくださいね。
撮影協力/ニルヴァーナストーン
http://www.nirvanastone.jp/
撮影/AJHAJAH
文/SAKURA
参考資料
『天然石(ジェムストーン)がわかる本・上下巻』(飯田孝一著/京都マリア書房)
『プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本』(下林典正・石橋隆監修/ナツメ社)
『パワーストーン百科全書』(八川シズヱ著/中央アート出版社)
『パワーストーン魔法の石カタログ』(森村あこ/実業之日本社)
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