現代人の健康意識改革・健康診断で重視したい、腫瘍マーカーとは? #1
健康を日常的に意識して生活をするようになった現代人。勤め先での健康診断もさぞや積極的に受けていることでしょう。だからこそ、もっと深く健康診断に関心をもって欲しいのです。そこで何が診断されているのか、しっかりと関心を持ち、内容をきちんと知ることでより的確な健康の指針を得られるのです。
腫瘍マーカーって何?
腫瘍マーカーという言葉を聞いたことがあるでしょうか。なんとなくなら聞いたことがある、という人たちもいるかもしれません。まだまだ一般的な言葉ではありませんが、知識として知っておくことをお勧めします。
がん検診をみなさんが行うとき、血液の検査をし、がんを発症しているかチェックすることができます。そのとき、使用されるものが“腫瘍マーカー検査”です。がん細胞によって作られる“物質”があり、それが血の中に紛れ込んでいたりします。健康な人の血中にはほとんどそのようなものはあらわれてきません。
それはタンパク質、ホルモン、酵素で作られているものが多く、がん細胞が活発化することにより登場します。この物質の量や、存在の有無をチェックすれば、がんをある程度推測することができるのです。
健康診断だけでは不足?
腫瘍マーカーが、まだそれほど多くの人たちに認識されていない理由は、腫瘍マーカーが健康診断のレベルで行われている検診ではなく、人間ドック実施医療機関で、さらにオプション追加として行われているレベルのものだからです。
ただ健康診断を受けるという程度のモチベーションでは、腫瘍マーカー検査まで至らない場合が多いのが実情です。しかし実際には、一般の健康診断だけで大丈夫という意識では、現代人の健康管理としては不足かもしれません。
人間ドックと健康診断の違いについて
「人間ドック」と「健康診断」とは何が違うのでしょうか。両方とも、現在の健康状態を明確にして、健康異常に対する早期発見と健康を保持するため行われるものだというのは間違いがありません。企業における健康診断は、最低レベルの健康管理の方法として1年に1回以上が義務付けられていますが、人間ドックは受けなくても問題がある訳ではありません。
しかし、本当に求められる健康管理のためには、健康診断を受ければ良いということではなく、また健康診断を受けても、検査項目が少なくては病気を特定するものではないのです。そこで、しっかり目的に合わせたプラン作りできるのが人間ドックなのです。
腫瘍マーカーのいろいろな種類
腫瘍マーカーは、人間ドックの項目に入っている場合もありますが、多くは人間ドック実施医療機関でのオプション追加として行われている検査内容です。
血液を採血し、その血液に対し、腫瘍マーカーを投与してスクリーニングをしていきます。腫瘍マーカーにはいろいろな種類があり、それぞれ特別な物質を検査していきます。
AFP(α-フェトプロテイン):主に肝臓がんの腫瘍マーカー。
CYFRA:肺がんの腫瘍マーカー。
CEA:大腸や胃、肝臓など、主に消化器にできるがんの腫瘍マーカー。
CA19-9:膵臓や胆のうなど、主に消化器にできるがんの腫瘍マーカー。
CA125:卵巣がんの腫瘍マーカー。
CA15-3:乳がんの腫瘍マーカー。
PSA:前立腺がんの腫瘍マーカー。
ProGRP:肺がんの中の小細胞がんの腫瘍マーカー。
(他にもPIVKAⅡ:肝臓がん、転移性肝臓がん、ビタミンK欠乏症の腫瘍マーカー。SCC:子宮頸がん、肺がん(扁平上皮がん)、食道がん、皮膚がんの腫瘍マーカー。NSE:肺小細胞がん、神経芽細胞腫、褐色細胞腫の腫瘍マーカーなどがあります)
この8つを頭にたたき込むだけでも頭が痛くなりそうですが、私達がより健康を意識するということは、このような専門的な検査を受ける必要もあります。
腫瘍マーカーは8つ以上あって、人間ドックで、全部選択をすればいいかもしれません。しかし、選択をすればその分、高いお金を支払いしなければなりません。そのとき、敢えて何を選択すればいいかという迷いが起こるでしょう。
おさえるべき腫瘍マーカーは
CEAは、具体的には、大腸がん、胃がん、胆道がんと肺がん、膵がん(消化器癌)、さらに甲状腺髄様がんや乳がん、尿路系のがん、子宮がんを検査します。特別ながんに特化した検査ということではありません。がんのスクリーニングとして、この腫瘍マーカーはやはりおさえておいた方がいいかもしれません。 もう一つCA19-9も、膵臓や胆のうなど、主に消化器にできるがんの腫瘍マーカーなのでおさえておきたいです。
がん検診においては、この腫瘍マーカーにプラスして、超音波検査や放射線検査も受けることが望ましいと言われています。
文/sapuri