無口なお客様でも大丈夫! つい話したくなる『名字』の雑学5選
日本には10数万もの名字があると言われており、日本で正確にその統計を取ったことはないそうです。でも、名字の成り立ちや代表的な名字の由来などはかなり判明してきています。サロンを訪れるお客様の中には、無口な方や、あまり共通した話題がなく会話が盛り上がらない方もいると思いますが、誰もが持つ名字の雑学には興味を持たれるかもしれません。
名字のルーツは、同じ地名にあることが多い
名字のルーツは、大きく次の8種類に分けられると言われています。
- 「姓」をそのまま名字にしたもの
- 住んでいる「地名」
- 「地形」が由来のもの
- 「方位」や「方角」が由来のもの
- 「仏教用語」が由来のもの
- 「職業」が由来のもの
- 「藤原一族」の子孫
- 主君などから特別に「もらった」もの
これらのうち、圧倒的に多いのは②の「住んでいる『地名』」なので、ルーツを知りたいならまず名字と同じ地名を探すと良いそうで、同じ地名が日本中に何カ所もある場合には古くからある土地を探すと、ルーツをたどれる可能性が高まるとか。また珍しい名字であれば、同じ名字の人が密集して暮らしている地域に由来していることも多いと言います。ちなみに、⑤「『仏教用語』が由来になっているもの」で最も多いのは、お釈迦様から1文字拝借した「釈」(しゃく)さんです。
「名字」は日常的な呼び分け、「姓」は天皇が役職を区別するためのもの
日本人の名前は、前半と後半の2つの要素で成り立っており、前半部分を「名字」または「姓」と呼ぶことがありますが、この違いは何でしょうか。
「名字」はもともと家を区別するために私的に名乗っていたもので、屋敷の所在地や自らが支配している領地の土地名などに由来していることが多く、勝手に変更できたそう。一方の「姓」は一族の地位やルーツを示し、まつりごとを担当する氏族ごとに天皇家から与えられたものでした。天皇家が統括していたため、勝手に変更することはできなかったそうです。現在はどちらも同じ意味のように使われていますが、日常会話では「名字」、正式書類などでは「姓」を使うことが多いのは、こうしたことに由来するのかもしれません。また、「氏」という概念は、明治時代に入ってから国が国民を管理するために作った戸籍制度のために作られた概念で、意味は「名字」と変わりません。
日本人の名字の中で多い上位100のうち、1割は下に「藤」がつく
日本人の名字ランキングの上位100位以内では、1位「佐藤」、6位「伊藤」、10位「加藤」など、実に1割が下に“藤”が付きます。その多くは有力貴族だった藤原氏の末裔で、藤原氏が平安時代に朝廷の重要ポストの多数を占めていたため、家を区別する必要性にかられて、自分の領地や職業を表す文字と藤原一族を表す“藤”を組み合わせたのがルーツと言われています。
「渡辺」「安倍」は天皇家の末裔!?
数ある名字の中でも、天皇家の子孫が名乗ったことが分かっているものがいくつかあります。大阪発祥の「渡辺」はそのうちのひとつで、平安初期の嵯峨天皇の末裔である嵯峨源氏の一族が、現在の大阪市北部に当たる摂津国西城郡渡辺という地域に移り住み、その地名から「渡辺党」という集団を組織したことに由来しているとか。その後、一族は海上交通を発展させて全国各地に広がり、「渡辺」の一族を残して勢力を拡大したと言われています。また、「安倍」「阿部」「安部」といったさまざまな漢字を用いる「あべ」氏は、いずれも第8代孝元(こうげん)天皇をルーツに持っているそう。安倍総理大臣も、もしかしたら天皇家の末裔なのかもしれません。
名字には日本の東西で特徴が
名字は日本の東西で異なる傾向があり、東では1位が「佐藤」、2位が「鈴木」。これは日本全体の1位・2位と同位で、「佐藤」や「斉藤」のように、下に「藤」が付く名字が多いのが東の特徴になっています。一方、西は地形に由来する名字の代表である「山本」、「田中」が1位、2位。このように東西で名字の特徴が違うのは、名字が最も多く作られた鎌倉時代から室町時代にかけて人口が西高東低で分布していたためだとか。人口が少ない東では地名由来の名字で間に合っていましたが、人口が多い西では地名由来だけでは名字が足りなくなり、「田中」や「山本」といった地形由来の名字が増えていったそうです。
日本には10数万の名字がある
世界的に見てみると、移民が集まっているアメリカには名字が100万以上あり、これが世界一と言われています。また少ないところでは、韓国には名字がたったの200強しかなく、人口10億人を超える中国でも数千と言われているそうですから、人口約1億3000万人の日本に名字が10数万と聞けば、いかに多いかがわかります。話のネタに困ったら、「私の名字は関西に多いみたいなんですが、○○様の名字は……」と、ウンチクたっぷりに話題を振ってみてはいかがでしょうか。
文/sapuri