?橋孝宜 interview #3:舞台裏から感動を作る仕事
トレーナーと言えば、スポーツチームや病院に属して患者さまのケガを治療しているイメージが強いものです。しかし、なかには個人や法人のお客さまと契約を結び、パーソナルトレーニングを施すなど、組織に所属せずフリーランスとして活躍している方も多くいます。今回は、そんなフリーランスのトレーナーとして俳優に施術をおこない、陰で舞台を成功に導く舞台トレーナー髙橋孝宜さんにお話を伺いました。
後編では、舞台トレーナーとして働く魅力や、今後の目標などを語っていただきます。
舞台当日のギックリ腰を治療
――舞台トレーナーとして働く魅力について教えてください。
「自分の存在意義をすごく感じることができます。舞台の俳優は代えが効かない存在にも関わらず、とてもハードで忙しく体のケアができていない方が多くいます。そんな俳優に施術をすることにより、パフォーマンスがあがりケガのリスクがさげることができます。そして施術をした俳優が活躍し、最後にお客さまの歓声を聞くことができた時、俳優を通して会場の何百人、何千人の方を幸せにできたとすごく充実感を感じることができるんです」
――なるほど。これまでに印象に残っている舞台現場でのできごとはありますか?
「舞台当日の朝に、ギックリ腰になり歩けないような状態になった俳優さんがいました。開演間近の限られた時間で施術をし、舞台上での動きに対応できるようテーピングとコルセットで腰を固めました。無事に舞台に送り出すことができましたが、あの時は本当に大変でした(笑)」
今助けを求めている人を救えるのは、その瞬間しかない
――普段仕事をする時に大切にしていることを教えてください。
「できる限りフットワークを軽くし、お声がけいただけるお仕事の連絡に対し『ノー』と言わないことを心がけています。たとえば、今電話があり、『舞台に来てくれ』と連絡が入った場合、まず『行きます』と答えます。その後、可能な限りどうにかスケジュールを調整し少しでも要望に応えられるようにします。今助けを求めている人を救えるのは、その瞬間しかありません。それならば今を大切にして、その人の元や現場に駆け付けることが、僕の仕事だと思っています」
関わった方へ恩返しを
――今後、実現したいことはありますか?
「俳優さんが安心して通院できる場所を作れたらいいですね。一般の治療院は営業時間が決まっており、舞台中の俳優さんは通院できません。忙しい芸能関係の方にも対応できるように、時間の融通が利く治療院を作りたいですね。今まで舞台でお世話になった方への恩返しにもなると思うので、実現できたら嬉しいです。また、俳優や俳優を目指している方々に身体の構造から使い方、メンテナンス方法などをお伝えする機会を作りたいとも考えています」
「興味を持ったことにどんどんトライすることが大切です。そうすれば、今までまったく知らなかった、新しい仕事に出会うことができます。僕も、こうしてまったく興味がなかった舞台トレーナーの仕事が大好きになっていますから」と笑顔で語る髙橋さん。今年も、すでに多くの舞台での仕事が決まっており、これからも観客の笑顔を舞台裏から作り続けていきます。
Profile
髙橋孝宜さん
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)、(公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)。早稲田大学スポーツ科学部卒業、日本鍼灸理療専門学校本科卒業。女子アイスホッケーチームトレーナー、高校サッカー部トレーナー、J2キャンプ帯同など、さまざまなスポーツに関わる。2013年からは舞台、LIVEのトレーナーとして活躍、現在に至る。
Information
2013.10.10発売 ムック本「ゆがみ解消チューニング」監修
2014.8発売 OCEANS 10月号
「ヨガマット1枚でカラダが変わる!人生が変わる!」監修
https://tknbtakahashi.wixsite.com/training-treatment
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