お客さま1人ひとりに専用のクロスをご用意!『Sac.』のサロン作りに迫る
「A new beginning from this space」をコンセプトにオープンした美容室『Sac.』。地域に密着したサロン運営でファンをつかみ、着実に成長を続けています。そんな『Sac.』がお客さまから厚い支持を得ている背景には、こだわり抜かれた居心地のよい空間や専用のクロスをご準備して信頼を得る取り組みがありました。
今回は、代表の武田亮介さんにインタビュー。前編ではお客さまから愛されるサロン作りに迫ります。
リビングのような落ち着ける空間を目指して
————まずは『Sac.』がお客さまから支持を得ている理由を教えてください。
「居心地のよい空間を整えているからだと思います。『どんな雰囲気のサロンを作ろうか?』とオープンをする際に考えた時、スタイリッシュな雰囲気やニューヨークの倉庫のような内装など、それまでにさまざまなサロンを見たなかで『僕はリラックスできる環境が好きだ』と思いました。そこで、お店は『家のリビングのような落ち着く空間がいいな』と。
物件を探し始めたところ恵比寿に一軒家が見つかりましたが、少し古い建物だったので、急な階段をゆるやかにする、床をすべて張り替えるなど、かなり大幅にリノベーションを加えました。内装でそのまま使っているのは窓のサッシぐらいですね。ちなみに恵比寿で一軒家のサロンは『Sac.』だけです」
————とくにこだわっているスペースはありますか?
「美容室でもっとも安らげる空間だと思うので、シャンプースペースにはとくに力を入れています。こだわりのポイントは、完全な個室にしなかったことです。リラックスできる環境をイメージした時に、完全に無音の空間よりも遠くの音がかすかに聞こえたほうが落ち着く印象があると思います。
たとえば、うたた寝をしている時に遠くからテレビの音が少しだけ聞こえると安らぎが増しますよね。そのため、シャンプースペースはカーテンで仕切っていて、カットスペースの音が少しだけ聞こえてきます。ちなみに、お客さま1人ひとりに専用のクロスを準備していることも工夫しているポイントです」
大好評の専用クロスサービス
————「1人ひとりに専用のクロスを用意」とは、どのような取り組みでしょうか?
「『Sac.』では、お客さまごとにシャワークロス、シャンプークロス、カットクロスをご用意しています。つまり、同じクロスを他のお客さまには使いません。『その方だけの専用クロス』というとわかりやすいと思います。
日頃のサロンワークでは、お客さまがいらっしゃる前にきれいに畳んで席に準備しておき、施術後には必ずクリーニングに出していることも、大切にしているポイントです。
実は、オープン当初から取り入れていたサービスではなく、コロナを配慮して清潔さのアピールのために導入した取り組みでした。始めてみると、『このサービスはうれしい』と想像以上の反響があったので『これからも続けていこう』と。ちなみに『居心地のよい空間』は働き方の工夫にもつながりました」
————「働き方の工夫につながった」について教えてください。
「落ち着いた空間を作ると、階段をゆっくり降りる、穏やかに話すなど、僕たちのなかに『ゆったりとした接客をする意識』が自然と芽生えます。とても忙しい時もありますが、そこで慌ててしまったら空間が大きく壊れるので、お客さまに満足していただくことはできません。
そのため『ゆったりした動作で、いかにスピーディーに仕事を終えるか』を考えて、無意識のうちに施術中の無駄な動きをなくしていきます。実際に取り組んでみると想像以上に難しいことなので、技術者として腕が上がる環境が整っていると思いますね」
性格にマッチした「恵比寿」という立地
————原宿から恵比寿に移ってきた時に感じた土地柄の違いや特徴はありましたか?
「やはり年代が違いました。原宿は20代が中心で、恵比寿は20代後半からお年寄りまで幅広い客層になります。そのため、若い世代のお客さまは足が遠のいてしまった方もいますが、以前から担当していた30~40代のお客さまからは、『原宿は少し合わなかったから、こっちのほうがうれしい』と言っていただけました。
また『人懐っこい僕自身の性格との相性がよい土地である』とも感じています。恵比寿は思いのほか古くから住んでいる方が多く、ご近所付き合いが大切なエリアです。
原宿と比べると、日頃から地域の方々と話す機会が多く交流を通して気に入っていただけて、ご来店につながることが結構ありました。ちなみに、サロンの目の前には大きなタワーマンションが建っているので、そこにお住まいの方とはよく道で出会います。お子さんを連れていた時には、一緒に遊んだこともありましたね(笑)。普段から人と接することが好きなタイプには合っている場所だと思います」
お客さまから愛されるサロン作りの極意
席の配置では周りの視線が気にならないことを意識したという『Sac.』。お客さまから愛されるサロン作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1.大規模な工事をしてでも、居心地のよい空間を作る
2.専用のクロスをご準備してお客さまの信頼をつかむ
3.自分の性格にマッチしたエリアに出店する
後編では、スタイル作りのこだわりなどに迫ります。
▽後編はこちら▽
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