ヘアメイクアーティストとして働くには資格が必要? 目指す方法や給料などを紹介
美容業界で活躍したいと考えている方の中には、ヘアメイクアーティストを目指す人も多いでしょう。
ヘアメイクアーティストと言えば、俳優やモデルのヘアメイクを手がけるイメージが強いかもしれませんが、実際にはブライダルや成人式など、特別な瞬間を華やかに演出する仕事も担っています。
では、ヘアメイクアーティストとして活躍するためには、どんな資格が必要で、どのようなスキルが求められるのでしょうか?
そこで今回は、ヘアメイクアーティストを目指すための具体的な方法や給料事情などについて、詳しく解説します。
ヘアメイクアーティストの仕事には資格が必要?
まずはじめに、ヘアメイクアーティストにはどんな資格が必要なのかを紹介します。
美容師免許は必須!
「ヘアメイクアーティスト」と名乗るための特別な資格やヘアセットとメイクを総合的におこなう資格は、とくにありません。ですが、モデルやお客様の髪に触れるためには、国家資格である美容師免許の取得が必須です。
そのため、ヘアメイクアーティストになりたいのなら、第一歩として美容師免許の取得を目指しましょう。
厚生労働大臣が指定する養成施設で衛生管理や美容保健、美容理論などを学び、カッティングやセッティングの技術を習得。指定の過程を修めて卒業したあとに、国家試験を受けて合格する必要があります。
この資格を取得していると、ヘアメイクアーティストに限らず、美容サロンで働く際や自分で独立開業する際にも役立つでしょう。
なお、美容師免許については、のちほどくわしく紹介します。
仕事やキャリアアップに役立つ4つの資格
国家資格である美容師免許以外にも、ヘアメイクアーティストの仕事やキャリアアップに役立つ民間資格がいくつか存在します。
たとえば、メイクに関する資格を取得していれば、初めて仕事をする相手にも一定以上のメイク技術と知識を持っていると理解してもらえるでしょう。
色彩やファッションに関する資格なら、ファッションに合わせたヘアメイクを提案する際に説得力が高まります。
そこで、メイクアーティストの仕事ができる職場へ就職したり、ヘアメイクアーティストとしての活躍の場面を広げていったりする際に役立つ4つの資格を確認しておきましょう。
JMA|日本メイクアップ技術検定試験
一般社団法人JMA(日本メイクアップ技術検定協会)が2004年に正しいメイク基準を基本とし、技術力や接客力、知識力などを高めることを目指して設立された資格です。スキンケアやメイクアップなど、美容に特化した基礎知識が問われます。
多くの美容系専門学校やスクールなどでも取り入れられており、就職の際にも有利となるでしょう。メイクアップの基礎知識を試す「ベーシック」は受験資格はとくになく、誰でも受験することができます。
応用知識を試す「アドバンス」は、「ベーシック」の前身となるメイクアップアドバイザー検定試験の合格者か、「ベーシック」の合格者が受験対象です。
従来の通り、全国一斉に開催される会場受験のほか、自宅から受験できるWeb受験も開催されています。(2024年12月時点)
引用元
一般社団法人JMA:日本メイクアップ知識検定試験
一般社団法人JMA:株式会社日本メイクアップ技術検定協会
IBF|IBF国際メイクアップアーティスト認定試験
IBF国際美容連盟が認定する、より安全で正確に国際的に共有されたメイクをおこなえる人材育成のために設立された資格が、IBF国際メイクアップアーティスト認定試験です。
メイク技術以外にも、メイクの方法を理論的に理解して科学的な知識も身につけられます。資格認定を受けたアーティストの活動をサポートするための技術向上セミナー、就職支援もおこなっているのが特徴です。
受験するには、IBFが指定する各スクール所定のカリキュラムを修了し、修了証書を有している必要があります。
この資格は基本として在宅受験となっており、自宅に試験問題を発送してもらい、解答用紙を提出したのちの合否発表も郵送です。(2024年12月時点)
引用元
一般社団法人IBF国際美容連盟:IBF国際メイクアップアーティスト認定試験
色彩検定協会|色彩検定
色の基礎から基本的な色の組み合わせ方、そして専門分野での色の利用方法などといった、色に関する知識および技術を幅広く学んで習得したことを証明する資格です。
メイクと髪色の組み合わせはもちろん、ファッションとのバランスを考える際にも活用できる、トータルコーディネートをおこなう際に役立つ資格といえます。
ブライダルヘアメイクを目指す場合|BIAブライダルコーディネート技能検定
ヘアメイクアーティストとして結婚式場や美容院で活躍したいなら、BIAブライダルコーディネート技能検定が役立ちます。
お客様のニーズを汲み取とって満足していただくには、ブライダルに関わる各種分業の壁を越えて幅広い関係者をコーディネートすることが必要です。この検定を取得することで、ヘアメイクを含むブライダルサービスや商品などを提供する、総合エキスパートであることを証明できます。
引用元
公益社団法人日本ブライダル文化振興協会:ブライダルコーディネート技能検定
美容師免許を取得するための美容師国家試験について紹介
ヘアメイクアーティストを目指すには、まず美容師免許を取得しなければなりません。ここからは、ヘアメイクアーティストを目指すための第一歩として、美容師免許を取得する方法を見ていきましょう。
美容師国家試験の受験資格とは?
美容師国家試験には受験要項があり、美容師養成施設で昼間・夜間は2年間、通信は3年間の過程を修了しなければ受験することができません。
そのため、美容師を目指す人は中学か高校を卒業したあと、美容師養成施設へ進学するのが一般的となっています。
通信制でも受験資格を得ることはできるので、もちろん社会人になったあとに美容師免許の取得を目指すことは可能です。
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どんな試験を受けるの?
美容師国家試験は、実技試験と筆記試験のふたつがあり、両方に合格する必要があります。
実技試験は第1課題のカッティング課題と、第2課題にワインディング課題とオールウェーブセッティング課題があり、ワインディングとオールウェーブセッティングはその年によってどちらかひとつの課題となります。ちなみに、令和5年度第48回の実技試験はオールウェーブセッティング課題です。
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【2023年度最新版】美容師国家試験とは? 実施要項を紹介|合格後に必要な免許申請手続きとは
合格率はどれくらいなの?
美容師国家試験は、年度内で8月と2月の2回おこなわれます。直近の合格率の推移は以下のとおりです。
第47回
令和4年度2月 |
第48回
令和5年度8月 |
第49回
令和5年度2月 |
第50回
令和6年度8月 |
|
受験者数 | 19,505人 | 4,149人 | 19,523人 | 4,763人 |
合格者数 | 17,266人 | 2,478人 | 16,888人 | 2,622人 |
合格率 | 88.5% | 59.7% | 86.5% | 55.0% |
引用元
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター:過去の試験実施状況
8月の試験合格率が60%ほどであるのに対し、2月の合格率は90%前後と大きな違いがありますが、これは、2月の試験は美容師専門学校生の受験者が増えるためと考えられます。
ヘアメイクアーティストを目指すにはどうやって勉強すればいい?
「ヘアメイクアーティストになりたいけれど、なにから手をつければよいのかわからない方もいるでしょう。つづいては、ヘアメイクアーティストになるための勉強の方法についてご紹介します。
大学・短大・専門学校へ通う
ヘアメイクアーティストを目指すために必須の美容師資格を取得するには、美容師の専門学校や美容系の大学や短大に通うことが必要です。
美容師の国家試験を受けるために、厚生労働省令で定める期間やカリキュラムの要件を満たしている学校かどうかを確認して選びましょう。
ブライダルなど、和装も扱うヘアメイクアーティストを目指す場合には、顔そりができる理容師資格と合わせて取得することも視野に入れておくと、さらに活躍の幅が広がります。
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通信教育で学ぶ
美容師国家試験は、通信教育でも受験要項を満たすことができます。転職準備や子育て、介護のために休職中の方のスキルアップなどとしても、自分のペースで学べる通信教育はつづけやすい方法でしょう。
最近は動画の教材も多くなっているので、かなり詳細な技術を学ぶことが可能です。
時間がとりやすいことと学費が安いことが通信教育の魅力ですが、とくに技術面で直接講師から学べないというデメリットもあります。実習なども受けたい方は、スクーリングなどがある講座を選ぶとよいでしょう。
また、美容師養成施設への通学が昼間・夜間ともに2年以上のカリキュラムが必要であるのに対し、通信制では3年以上とより長い期間の学習が必要になる点にも注意してください。
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美容師免許取得済の場合|ヘアメイクスクールへ通う
すでに美容師の資格を持ってるのなら、ヘアメイクスクールに通うという方法もあります。ヘアメイクスクールは、ヘアメイクに限定して集中的に掘り下げて学べるので、効率的にヘアメイクのスキルアップを図れるのが特徴。
美容師免許取得時に学んだ基本の技術に加え、ヘアメイクに特化した技術を学ぶことができるので、ヘアメイクアーティストを目指すにはぴったりと言えるでしょう。
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ヘアメイクアーティストに必要な能力・適正
実際にヘアメイクアーティストとして活躍するためには、どんな資質が必要とされているのでしょうか。
ここでは、ヘアメイクアーティストに向いている人、活躍する人にはどんな特徴があるのかをくわしく解説します。
美容やファッションに興味がありトレンドに敏感
ヘアメイクに限らず、美容の世界は流行の移り変わりが激しいので、いつの間にかトレンドが変わっていたということが少なくありません。
「アーティスト」を名乗るからにはトレンドを把握したうえで独自性を創らなければならないので、ヘアメイクだけでなく美容やファッションへの興味を失わず、つねにアンテナを張って学びつづけていくことが大切です。
美容やファッション、ヘアメイクに関することが「好き」であり、ずっと考えていても苦にならないということがもっとも大切な条件でしょう。
社交性やコミュニケーション能力
ヘアメイクをおこなう際には、お客様やモデルはもちろん、スタイリストやコーディネーター、撮影スタッフなどといったヘアメイク以外のスタッフ同士と円滑にコミュニケーションをとることが求められます。
また、ヘアメイクの対象となる人にどんなメイクが似合うのかをよく観察し、ニーズを聞き取り、リラックスさせることで、お客様の魅力を最大限引き出せるようになるでしょう。
柔軟な対応力と創造性
ヘアメイクアーティストが関わる場面では、お客様やモデルの希望と現場のスタッフのイメージが食い違っていたり、創りたいイメージがうまく表現されていなかったりすることは少なくありません。
ヘアメイクアーティストには、対象者のイメージを大切にしながら現場の希望も組み取り、形にできる柔軟な対応力と創造性が求められます。
ヘアメイクアーティストの給料はどれくらい?
ヘアメイクアーティストを目指すにあたって、気になるのは給与や年収がどれくらいなのかということではないでしょうか。
厚生労働省が発表する「令和5年賃金構造基本統計調査」のデータによると、ヘアメイクアーティストを含む「美容サービス・浴場従事者(美容師を除く)」のカテゴリで従事者が10人以上の規模の企業では、男女あわせた月給平均は24万7,600円、年間賞与その他特別給与額は12万9,400円となっています。
そのため、月給×12カ月分+賞与で、310万600円が平均年収と言えるでしょう。
引用元
政府統計の総合窓口(e-Stat):賃金構造基本統計調査3 一般_職種(小分類)(役職者を除く)DB | 統計表・グラフ表示
なお、「美容サービス・浴場従事者(美容師を除く)」はヘアメイクアーティスト以外の美容サービスの職種も含まれているため、ヘアメイクアーティストだけの平均給与ではないことに注意してください。
ヘアメイクアーティストのやりがいと大変なこととは?
華やかなイメージのあるヘアメイクアーティストは、イメージ通り魅力的で大きなやりがいがたくさんある職業です。一方で、仕事ならではの大変なこともあります。
ここからは、ヘアメイクアーティストのやりがいと大変なことを紹介します。
ヘアメイクアーティストのやりがいとは?
ヘアメイクアーティストの一番の魅力は、お客様の美しさを引き出すお手伝いができることにあります。とくに、お客様が美しくなった喜びで笑顔を見せてくれたときには、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
また、自分のイメージを具現化して、お客様や現場の要望とマッチしたときにも、自分の実力に自信が持てて、モチベーションアップにもつながるのではないでしょうか。
さらに、ヘアメイクアーティストはもともとメイクやヘアアレンジなどに興味を持っている人が目指しやすい仕事。自分の「好き」を原動力に仕事に活かすことができるため、仕事そのものが魅力的でやりがいがある、という人も多いでしょう。
ヘアメイクアーティストの大変なこととは?
ヘアメイクアーティストは、たとえ同じお客様であっても、その都度求められることが変わる仕事です。お客様の要望をなるべく正確に汲み取るためには、高いコミュニケーション能力が必要です。
また、現場によっては勤務時間が不規則になってしまうため、生活リズムが崩れてしまいがち。きちんと仕事をやり遂げるためにも、体調管理は重要です。
さらに、トレンドの移り変わりが比較的早い業界のため、常にアンテナを張り、流行に合わせた技術やアイテムを学び続けなければならず、生涯学習とスキルアップが欠かせません。
自分に合った職場はどうやって探す?
ヘアメイクアーティストが自分に合った職場を見つけるためには、資格支援や教育制度が整ったサロンを選ぶことが大切です。
まず、自分が求める働き方やスキルアップの環境を考慮しましょう。資格支援や研修制度が充実しているサロンを選ぶと、仕事のスキルアップがしやすくなります。
また、チームワークを大切にする職場や、働きやすい労働環境も重要です。自分に合った職場を探すには、エージェントや求人サイトを活用するのが効率的です。
1. 就職・転職エージェントを利用する
就職・転職エージェントを利用する方法は、専門的なサポートを受けながら、自分に合った職場を見つけやすくなります。
美容業界に特化したエージェントを選ぶと、業界に詳しいアドバイザーから求人情報を得られ、希望する条件に合うサロンを紹介してもらいやすくなるでしょう。こういったエージェントは面接対策や履歴書添削も行ってくれるため、応募時の不安を減らし、スムーズに転職活動を進められます。
2. 求人サイトで探す
ハローワークや求人サイトなど、企業が出した求人をまとめているサービスを活用する方法もあります。とくに求人サイト「リジョブ」は美容業界に特化しており、全国のサロン情報が豊富です。
給与や福利厚生・勤務時間以外にも、サロンの規模や立地・施術メニューといった詳細の検索項目もあり、自分の条件に合った職場を見つけやすいでしょう。
求人サイトでは、求職者自身が応募したいサロンを選び、エージェントを通さずに直接応募できるため、自分のペースで就職活動ができます。
履歴書で気をつけたいポイントとは?
ヘアメイクアーティストとして新たな職場を見つけるためには、履歴書が重要です。
履歴書は基本的な書き方のルールを守ることが大切。正確な情報を記入し、自分のスキルや経験を簡潔に伝えることがポイントです。
とくに、志望動機や自己PRの部分は、自分がそのサロンで働きたい理由や自分の強みをしっかり伝えることが求められます。履歴書を通じて自分を魅力的にアピールすることが、面接につながる大きな第一歩です。
基本的な書き方をおさらいしよう
履歴書の基本的な書き方にはいくつかの注意点があります。基本的な書き方をおさらいしましょう。
まず、誤字脱字がないように注意深く見直すことが重要です。また、修正液や訂正テープは使わず、もし間違えた場合は新しい履歴書を用意してください。日付や和暦・西暦を統一することも大切です。
さらに、記入内容は簡潔かつ正確に記入し、分かりやすい表現を心がけましょう。自己PR欄には、自分の強みや経験を簡潔に述べ、職務にどう活かせるかを伝えることが求められます。
志望動機はどうやって書けばいいの?
志望動機を書く際には、そのサロンに応募した理由を明確に伝えることが大切です。ヘアメイクアーティストを目指した理由や、そのサロンで働きたい具体的な理由を簡潔に述べましょう。
たとえば、「お客様に笑顔を届けるためにこの職業を選んだ」といった自分の思いや、サロンの理念や雰囲気に共感している点を挙げると効果的です。
また、そのサロンならではの特色や特徴に触れることで、他の応募者との差別化を図ることができます。自分の情熱や意欲を素直に伝えることが、採用担当者に良い印象を与えるポイントです。
面接で好印象を与えるには?
面接では、第一印象が非常に重要です。ヘアメイクアーティストの場合、服装や髪型でその職業にふさわしいかどうかが見られることもあります。清潔感があり、過度に派手ではない服装を心がけましょう。
また、面接において社会人の基本的なマナーを守ることも大切です。面接官に対して礼儀正しい態度で接し、挨拶や言葉遣いにも気を配りましょう。
さらに、よく聞かれる質問には事前に準備し、スムーズに答えられるようにしておくと、面接がスムーズに進みます。自分の強みや意欲をアピールし、面接官に良い印象を与えられると、採用の決め手になるかもしれません。
ヘアメイクアーティストの仕事に役立つ資格を取得しよう
ヘアメイクアーティストと名乗るための資格はありませんが、お客様の髪に触れカットやセットをおこなうためには、美容師免許が必須です。そのため、ヘアメイクアーティストになる第一歩として、美容師免許の取得を目指しましょう。
美容師免許に加えて、メイクアップやスキンケアに関する資格を取得しておくのがおすすめです。
資格を取得する過程で学んだことは、ヘアメイクアーティストとしての自信につながり、実際の仕事の場面でも役立ちます。
ヘアメイクアーティストとしての活躍の可能性を広げてくれる関連資格を調べてみて、自分に向いている資格取得に向けてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
また、資格支援や教育制度が整っているサロンを探す際には、リジョブを活用するのがおすすめ。リジョブは美容業界に特化した求人サイトで、資格支援や研修制度が充実したサロンを見つけやすいです。
美容師免許やヘアメイクに関連する民間資格の取得を目指している方も、リジョブで求人をチェックしてみましょう。会員登録して、さまざまな求人情報を確認し、理想の職場を見つける第一歩を踏み出してみてください。