セラピーとカウンセリングの違い|セラピストとカウンセラーの仕事や適している人についても紹介

セラピーやカウンセリングは、どちらも心や体に不安や不調を抱える人の問題解決をサポートをする療法です。しかしこのふたつには違いがあり、その違いが分からないという人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、セラピーとカウンセリングの違いや、サポートをする側であるセラピストやカウンセラーの仕事、適している人などを紹介します。

セラピーとカウンセリングの違いとは?

セラピーとカウンセリングの違いは、相談者と相談に乗る人のどちらが主体的に働きかけるかです。

セラピーでは相談に乗る人が主体となって、相談者の不調や不安を解消するためにさまざまな方法でアプローチや施術を行います。

それに対しカウンセリングは、相談者が主体になり、問題解決に向けて自分で気づきを得ることが目的です。この場合、相談に乗る人は助言やサポートを行います。

ただし、セラピーだからカウンセリングはしない・カウンセリングだからセラピーはしないということではありません。

では、セラピーとカウンセリングについて詳しく見ていきましょう。

セラピーとは人が本来持つ力を引き出す療法

セラピーとは手術や投薬ではなく、人が本来持つ力を引き出して不安や不調などを解消する療法です。物理療法や心理療法などがあります。また、最近では心身に癒しを与えることを目的としたセラピーも。

医療系・ボディ系・メンタル系・リラクゼーション系のセラピーがあり施術の目的やアプローチの仕方、施術内容が異なるのが特徴です。

カウンセリングとは相談者の問題解決をサポートする療法

カウンセリングとは、相談者の悩みや困りごとを傾聴し、相談者自らが解決策を導き出せるよう、サポートする療法です。

人は物事が思うように進まないとき、感情を抑えこんでしまいやすいもの。相談者は、対話によって気持ちの整理をしたり、解決策を見つけたりします。

引用元
厚生労働省|カウンセリングについて

セラピーを行う「セラピスト」とは?

セラピストとは、お客様や患者にセラピーを行う専門家です。身体や五感に能動的に働きかけます。

さきほど紹介したように、医療系・ボディ系・メンタル系・リラクゼーション系の4つのセラピーがあり、それぞれのセラピストの仕事にも違いがあるのが特徴です。

医療系セラピスト

おもに医療行為を目的としてリハビリやマッサージなどを行うのが医療系セラピストです。理学療法士・あん摩マッサージ指圧師・作業療法士・柔道整復師・言語聴覚士・鍼灸師などが該当します。

病院・介護施設・整体院・接骨院・児童福祉施設などで活躍している人が多いです。

ボディ系セラピスト

ボディ系セラピストの仕事は、身体に癒しを与えたり不調を整えたりすることです。エステティシャン・リフレクソロジスト・カイロプラクターなどが該当します。

適切な施術をするためにはそれなりの知識や技術が必要です。また、お客様がリラックスできるような配慮も欠かせません。

専門のサロン・美容室・ホテル・スパ・整体院・産婦人科医院・介護施設など幅広い場所で活躍しています。

メンタル系セラピスト

メンタル系セラピストは、精神的負担や心の病をケアするのが仕事です。公認心理師や臨床心理士、認定心理士などがメンタル系セラピストの代表例として挙げられます。

ほかのセラピストのように直接身体に触れた施術をするのではなく、カウンセリングや心理療法を行うのが特徴です。ただし、病名を診断したり薬を処方したりといった医療行為は行えません。

メンタル系セラピストは「カウンセラー」を肩書としている人も多く、活動場所もカウンセラーとほとんど同じです。カウンセラーについてはのちほどくわしく紹介します。

リラクゼーション系セラピスト

リラクゼーション系セラピストは、ストレスを和らげることを目的に、お客様の心身をリラックスさせ癒しを与えます。アロマセラピスト・音楽療法士・カラーセラピストなどがあり、関連する民間資格を取得している人も多いです。

サロンをはじめ、ホテル・介護施設・児童福祉施設・病院などでも活躍しています。

カウンセリングを専門に行う「カウンセラー」とは?

カウンセラーは、相談者の悩みや困りごとを聴く専門家です。相談者に解決策を与えるのではなく、解決につながる気づきを与えたり、気持ちを整理するサポートをしたりするため、比較的受動的な立場であることが特徴。

カウンセラーにもいくつか種類がありますが、以下の3つが代表的です。

・心理カウンセラー
・スクールカウンセラー
・キャリアカウンセラー

心理カウンセラーは病院や精神保健福祉センターなどで、心や対人関係に悩みがある人の支援をしています。

スクールカウンセラーの活動場所は学校現場です。児童や生徒・保護者・教員を対象に、いじめや不登校、学習問題などの相談に応じ、心のケアと立ち直りを促すサポートをしています。

キャリアカウンセラーは、ハローワークやエージェント会社・企業の人事部などで、仕事に関する悩みがある人の相談に応じて支援するのが仕事です。

引用元
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|カウンセラー(医療福祉分野) – 職業詳細
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|スクールカウンセラー – 職業詳細
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント – 職業詳細

カウンセリングの手法の例

カウンセリングにはいろいろな手法があるので、どんなものがあるのか例を紹介しましょう。

認知行動療法

認知行動療法とは、相談者がどう認知・判断し、どのように行動するかを分析して、受け止め方を変えることによってよい循環を生み出そうとする手法です。

自分が相手から責められているなどマイナスに捉えがちな部分を、そうではなく相手は自分のことを思いやってくれている、というようにプラスに捉えられると、相手に対する態度もよい方向に変わっていくと考えられています。

精神分析

精神分析は、心理学者フロイトが提唱した手法です。相談者の話のなかで、本人が忘れてしまっているようなトラウマや無意識化でのコンプレックスなどを見つけ出し、解消への道を探ります。

来談者中心療法

来談者中心療法は、1940年代にアメリカの臨床心理学者カール・ロジャースによって提唱された手法です。カウンセラーは相談者の話に傾聴し、すべての内容に対して受容・肯定・共感を行います。

話をするなかで相談者も自分への理解が深まり、新たな気づきを得ることができて、気持ちや行動に変化が生まれるとされる方法です。

セラピストへの相談者の特徴

セラピストのもとに相談に訪れる人には、どんな特徴があるのでしょうか。以下のような人々です。

・肉体的な不調を改善したい
・疲れを癒やして楽になりたい
・育児や仕事などで疲労がたまっている など

このような人々が、自分で整えるのが難しい部分を人(セラピスト)に改善してもらうためにやって来ます。

セラピストになるのに適している人

セラピストになるのに適しているのは、以下のような人です。

・人と接するのが好き
・体力がある
・人に何かをしてあげたい気持ちが強い
・精神的に安定している
・技術や知識に対するスキルアップの意欲がある

以下の記事で向いている人の特徴について詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

セラピストに向いている人・向いていない人の特徴とは? 未経験でも働ける?

カウンセラーへの相談者の特徴

ここでは、カウンセラーのもとに相談に来るのはどんなタイプの人なのかをチェックしましょう。

・自分に自信を持ちたい
・人から共感を得たい
・仕事で大きなストレスや負担を抱えている
・家族や友人と関係がうまくいっていない
・うつ傾向
・不安や心配事が多い
など

カウンセリングを求めるのは、上記のように精神面に悩みを抱えている人が多いことが特徴です。

カウンセラーになるのに適している人

カウンセラーになる側に向いているのは、以下のような人です。

・人の役に立つ仕事をしたい
・包容力がある
・人の話にきちんと耳を傾けるのが得意
・人からの信頼を得やすい
・洞察力や幅広い視野を持っている など

当てはまるものがあれば、カウンセラーを目指してみてはいかがでしょうか。

セラピストになる方法|資格が必要なものと不要なものがある

セラピストといっても資格が必要なものと不要なものがあり、セラピストになる方法には違いがあります。

たとえば医療系セラピストや一部のメンタル系セラピストは、国家資格が必要になるため、受験資格を満たせる養成校で学ばなければなりません。一方、ボディ系・リラクゼーション系セラピストは無資格・未経験でも目指すことが可能です。

美容業界に特化した求人サイト「リジョブ」には、未経験歓迎の求人が豊富に掲載されているため、働きながら知識や技術を習得することができます。

セラピストの資格に関する詳細は、以下の記事でチェックしてみてください。
セラピストになるには資格が必要?おすすめの資格や求人の探し方・応募に必要な準備を紹介

カウンセラーになる方法

カウンセラーは、資格がなくてもなれる職業です。しかし、きちんと勉強して知識を身につけることによって、より相談者も安心感を感じられ信頼してもらいやすいので、資格を取っておくことをおすすめします。

どんな資格があるのか以下で見てみましょう。

公認心理師(国家資格)

公認心理師は、心理学における専門的な知識や技術を所持していることを証明する国家資格。4年制大学で指定の内容を学び、さらに大学院で指定の科目を学ぶ、もしくは卒業後に特定の施設で2年以上の実務経験を積むなど、受験までの道のりがいくつかあります。

心理系唯一の国家資格であり、取得によって、相談者の心理状態を観察・分析したり、適切な助言や援助を行ったりすることができると認められるので、カウンセラーの仕事を極めたい人におすすめです。

引用元
厚生労働省|公認心理師
厚生労働省|公認心理師法概要

臨床心理士

臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格。指定の大学院を修了している・医師免許を持っており2年以上の臨床心理経験があるなど、高い受験資格が求められます。

取得後は専門職として公立学校に配属されることもあるなど、信頼性の高い資格のひとつです。

引用元
日本臨床心理士資格認定協会|臨床心理士とは
日本臨床心理士資格認定協会|受験資格
日本臨床心理士資格認定協会|臨床心理士資格認定事業

メンタルケア心理士

メンタルケア学術学会・生涯学習開発財団・ヘルスケア産業推進財団の3つが認定する資格。日本こころ財団が実施する「こころ検定2級」資格を所持しており、所定の課程を学んだ・所定の資格を持ったなどの条件に適合する人が受験可能です。

試験では精神解剖生理学・精神医科学・カウンセリング基本技法について問われ、真のメンタルケアのプロを目指せます。

引用元
医療福祉情報実務能力協会|メンタルケア心理士(R)認定試験

セラピーもカウンセリングも人の助けになる大切な仕事

相談の受け手が主体となってケアを行うセラピーに対し、相談者自身が主体となって問題解決に向けた糸口を見つけるのがカウンセリングです。

セラピストもカウンセラーも、相談者に寄り添いサポートをする大切な仕事という部分では共通しています。

セラピストにはいくつか種類がありますが、ボディ系・リラクゼーション系セラピストなら資格がなくても目指すことが可能です。

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